2016年4月12日火曜日

精神の跳躍


地湧社が創立以来出してきた月刊誌「湧」の1986年発行の第1号から、巻頭言を土日を除く毎日1編ずつ掲載していきます。

(月刊「湧」1990年9月号)

精神の跳躍


 ピーター・ラッセルというイギリスのジャーナリストがいる。彼は『グローバル・ブレイン』
という著書で、地球全体を意識と情報網で構成する大きな頭脳に見立て、新しい段階へ進んで
いる意識社会の出現を示唆した。ちょうどジェイムス・ラヴロックが地球を有機的な一つの生きものとして捉える「ガイア(地球生命圏)仮説」をとなえた時期と時を同じくしていた。そしてピーターは最近、加速する社会の変化に対応し、問題を解決して行く新しい人間の意識の可能性
を説きはじめている。
 さて、私は偶然の機会からピーター・ラッセルと数度の出会いを持ったが、彼に出会って以
来、ある思いが二重写しになっていた。そこで私はピーターに一冊の本を送った。和田重正著
『もう一つの人間観』である。この本は、だいぶ古い話になるが、キューバ事件で米国とソ連
が激しく対抗し、世界中が核戦争の恐怖に怯えたとき、教育者の和田が歴史がまったく新しい
時代に入ったことを感じ、人間の精神の跳躍を訴えたものだ。
 チェルノブイリ原発事故に代表される地球上の無差別汚染は、キューバ事件の歴史的意味を
更に一般化した形にして世界の意識地図を塗り変えているのではあるまいか。人々の意識の中
で国家像が変質し、学問もその権威がゆらぎ、予想以上の速度で地球そのものの意識に変化を
与えはじめた感がある。東欧の変革もその一つだろう。
 先日、ピーターから「『もう一つの人間観』は私の今進めている新しい考えに大変良い参考に
なった」という礼状がファックス通信で届いた。(MM)1990年9月10日発行

(次世代のつぶやき)
ピーター・ラッセル氏は、地球と人間の新しい進化を、“意識の進化”と位置づけました。
その進化が世界の深刻の危機を乗り越えると予言しています。
それが結実したのが、『ホワイトホール・イン・タイム』(ピーター・ラッセル著)です。
抵抗する力はあるものの、やはりじりじりとこの予言通りに動いていると思います。
さて、地球破滅に間に合うか?  (2016年4月12日 増田圭一郎 記)